あえて空腹時間を作る「プチ断食」が健康法として注目を集めている。ただし注意も必要だ。予防医療コンサルタントの細川モモ氏は、「女性は空腹時間が長いと体温が上がらず、子宮の血流が悪くなり、排卵や妊娠に悪影響を与える。生理に悩んでいる人や妊娠を考えている人は避けたほうがいい」という――。

※本稿は、細川モモ『生理で知っておくべきこと』(日経BP)を再編集したものです。

■朝ごはんを食べる人は生理痛が軽い

あなたは朝ごはんを食べていますか?

朝食をほぼ毎日食べている人のほうが、生理痛が軽いです。

私たちが、朝ごはんを食べる頻度と生理痛について調べたところ、次のような結果になりました。

朝食をほぼ毎日食べている人で、寝込んだり、痛みどめを使用したりするほどの生理痛がある人は約25%、対して朝食が週に4〜5日以下の人で重い生理痛の人は約40%でした。また、朝食を食べている人で、生理痛が軽い、あるいはほぼない人は約74%、朝食を食べていない人のこの割合は59%でした。

さらに、過去3カ月間連続して生理がとまったことがある女性も、調べてみたら朝ごはんを食べていない傾向にありました。朝ごはんPMSの症状である頭痛などにも影響しています。

■体温が上がると生理痛が軽くなる

なぜ朝ごはんを食べると、生理痛が軽くなるのでしょうか。その理由は、朝ごはんを食べることで体温が上がるからです。

眠っている間に体温が下がっていることは知っていますか? 就寝中は、起きているときより約1度体温が下がります。この1度が体を健康に動かすのにとても大切です。朝起きてバタバタ動き回っていると、活動により体温が上がります。しかし、それは一時的なものです。朝ごはんを食べてないと、ランチ前に手足が冷えてくるはずです。体温を高めるには、食事の消化熱です。そして、どれくらい体温が維持できるかは、なにを食べるのかによって違います

糖質のみだと摂取カロリーの約6%しか使われず、体温も上がりません。脂質メインだと約4%です。しかし、たんぱく質メインだとなんと約30%も使われます。これだけ違うと体温にも大きな違いが表れます。つまり、スムージーやフルーツだけでは冷えは改善されません。朝からしっかりたんぱく質を食べると、冷えを感じることなくお昼を迎えることができます。そこでまたランチを食べて、体温を上げます。体温が上がると、血の流れがよくなって痛みが和らぎます。

この、「体温が1度朝に上がる」というのがとても大切で、寝ている間に下がっていた体温がずっと昼まで上がらないままだと、子宮の血液がうまく流れなくなり、流そうという圧が過剰にかかり、痛みを強くします。

最近では、「朝ごはんを食べないほうが健康にいい」「1日1食がいい」「できるだけ空腹時間をつくったほうがいい」という説も聞きますが、多くの場合、こうした主張は男性が唱えています。男性は生理がありません。私たちの調査では、貧血などの不調は明らかに食事回数が少ない女性に多く見られます。

■朝ごはんを食べると太りにくくなる

それ以外にも、朝ごはんにはメリットしかありません。

私たちが1000人を対象にした調査では、朝ごはんを毎日食べている人は、体脂肪が少なく、筋肉量が多いことがわかりました。つまり、朝ごはんを食べると、太りにくくなります。

理由はふたつあります。まずひとつは、朝ごはんを食べると1日の血糖値の乱れが抑えられることです。

血糖値が上がると、それを下げるホルモンが多く分泌されますが、なんと、このホルモンは過剰な血糖値を脂肪にかえてしまうので、それだけ太りやすくなります。

空腹時間が長引くほど、次の食事で血糖値が乱れやすくなるので、朝ごはんを抜くと、昼ごはんで必要以上に血糖値が上がってしまいます。

■朝食で体内時計がリセットされる

ふたつめは、体内時計のリセットです。

そもそも体内時計とは、「私たちの脳」と、「末梢細胞という臓器などにある体内の時計」のふたつのこと。時間は人間が決めたものですから、生き物としての私たちの体とは時間のズレがあります。周りの時間と体の時間が違うと、ホルモンバランスや自律神経が乱れます。

朝ごはんを食べないと、体内時計はいつが24時間の区切りなのかがわからず、どんどんと時差ぼけを起こしていきます。

体内時計の乱れは、肥満やうつなどのさまざまな病気に関わっていますが、中でも気になるのは、排卵と妊娠への悪影響です。排卵と妊娠に悪い影響があるということは、女性の健康にとっていいことではありません。

日本女性で、不妊症の人には朝ごはんを食べていない人と、食事の時間が不規則な人が多いということもわかっています。つまり、きちんと朝ごはんを食べることは、体内時計をリセットし子宮の健康につながるといえます。

ただ、体内時計をリセットするには、朝ごはんを食べるだけでは少し不完全です。必ず、「光」を浴びましょう。次で詳しく説明します。

■朝は日を浴びよう

体内時計をきちんと外の時間に合わせたいなら、忘れてはいけないことがあります。それは、「光」を浴びることです。

日を浴びることで、まず「セロトニン」が分泌されます。これが、14時間経つとメラトニンというものに変わることはすでにお伝えしました。「睡眠のホルモン」で、これが人を眠くします。ただし、このメラトニンは強い光を浴びると分泌が減ります。

日没以降に蛍光灯などの強い光を浴びてしまうと体内時計が乱れてしまいます。つまり、「光」は皆さんが思っている以上に、健康に影響すると思ってください。朝はできるだけ明るい光を、夜は間接照明を使うのが、健康の源です。

たとえば、朝はカーテンを全開にし、すべての照明を最大限明るくし、夕方に帰ったら、つける照明は3分の1だけ、しかも、もっとも暗いライトなどをつけるのはとてもいいですね。コンビニの照明は強烈なので、夜はあまり寄らないようにしたいものです。

■体温が上がると栄養吸収率が上がる

朝ごはんには、就寝中に下がった体温を上げる役割があるとお話ししました。体温は冷え性だけでなく、免疫や、なんと栄養の吸収にとっても大切です。

鉄の吸収率は体温が高いほうが上がります。つまり、体温が低い人は、貧血になりやすくなります。鉄だけではなく、人は37度の体温のときに、細胞は栄養などの物質を積極的に取り込みます。

日本女性の平均体温は、36.1度であり、35度台の人も少なくありません。

「そんなことをいっても、私は昔から体温が低くて」という人もいるかもしれません。でも大丈夫です。体温を上げるのも食事でできます。

体温はどこから生まれるかご存じですか?

体温は筋肉の中にあるサルコリピンというたんぱく質が生み出しています。そして、保温するのが体脂肪です。つまり、筋肉の量が少なく、やせている人ほど冷え性になります。

筋肉の量を増やしたいなら、3食の食事でたんぱく質バランスよくとること。つまり、5種類のたんぱく質(魚介類、肉類、卵類、乳製品、大豆製品)をまんべんなくとることで、改善されます。運動よりもまずは食事です。

■朝食習慣がない人にもできる3つの方法

朝ごはんを食べる習慣のない人はかなりハードルが高く感じるかもしれません。習慣を大きく変えるのは大変です。ここで、私たちが調査した、朝ごはんを食べていなかった人が「これならできる」と食べるようになったものを紹介します。

① まずは飲み物だけ

たとえば、砂糖なしのカフェラテです。乳製品が入っていると、たんぱく質がとれるのでいいです。豆乳もいいですね。

② 調理がいらないもの

バナナカットフルーツヨーグルトゆで卵をおすすめします。買ってきたものでいいから、パンやサンドイッチおにぎりもいいですね。

また、朝ごはんを食べると気持ち悪くなるという人も、インスタントみそ汁なら飲めるということで始めた人がいます。その後、自分で乾燥わかめ高野豆腐を入れて具だくさんになっていったそうです。

③ 楽しみをつくる

仕事の帰りに、成城石井などのちょっといいスーパー朝ごはんを買って帰ることで続く人がいました。朝起きるのが楽しみになるので、続きやすい。無印良品レトルトなどもおすすめです。

■起床後すぐに食べられない人はオフィスでも

私たちが働く女性を対象に、朝ごはんを食べる習慣のない女性に毎日朝ごはんを提供した結果、食べる率があがりました。「時間がない」「ギリギリまで寝ていたい」「冷蔵庫にものを入れたくない」という人は、カバンやオフィスデスクに、栄養のつまった常温で保存できるバーを入れておくのはどうでしょうか。できれば起床後2時間以内に朝ごはんを食べられると理想的です。

これを実践して、「6kgやせた」「疲れにくくなった」「午前中の生産性が上がった」「アクティブになった」「気持ちが明るくなった」「PMSや生理痛が軽くなった」など、たくさんの声が寄せられています。

どうでしょうか。「これならやってみようかな」と思えましたか?

鉄分や亜鉛、カルシウムなどの栄養素はふつうに食べていても不足してしまいます。

家で時間がなければ、会社で食べるのでもOKです。楽なものや、楽しいものからはじめてみましょう。

■朝ごはんに卵をプラスしよう

「朝にとにかく何でもいいから口にする」のハードルを越えられたら、しめたものです。さらに慣れたら、たんぱく質を1品足してみましょう。たんぱく質をとると、体内時計がリセットされる効果があがります。

夜勤がある、シフト勤務の人、夜更かししやすい人など、体内時計が乱れやすい人はたんぱく質で体内時計を強力リセットしましょう。目玉焼きトースト、納豆ごはん、鮭フレーク茶漬けヨーグルトグラノーラなどがいいでしょう。たんぱく質に糖質をセットで食べるとより効果的にリセットされます。

たとえば、トーストだけ、スムージーだけという人は、コンビニで買ったゆで卵を足してみましょう。ご飯の人は、かつおぶしやシラス、鮭フレーク、納豆、そぼろを上にのせるだけでOK。朝ごはんたんぱく質を1品足せたら、合格です。簡単なものを追加してみてください。

ちなみにマウスを使った研究では、魚を食べると、すでに乱れてしまった体内時計をリセットする効果があることがわかっています。夜勤などで朝日が浴びられない人は、起きたらかつおぶし、ツナ、しらす、鮭フレーク、アジの干物など、食べられる魚を常備しておくこともおすすめします。

朝ごはんに避けてほしいものが、砂糖の入ったコーヒージュース、菓子パンの3つです。

砂糖がたくさん入っており、お腹がからっぽの朝に食べると、血糖値が急に上がってしまうからです。

■朝食を多め、夕食を少なめに

体内時計は、食事の「量」にも影響します。

1日の中で、夜はいちばん食事の量が多い傾向にありますが、夜の食事にボリュームを持たせると、体内時計が夜型になってしまいます。そもそも、体内時計が「朝型」「夜型」は遺伝子の影響もあるのですが、夜型の人はメンタル不調を抱えやすい傾向にあります。

メンタルが不調になりやすい人は、ぜひ朝ごはんをしっかり食べ、夜は少なめにしてみてください。

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細川 モモ(ほそかわ・もも)
予防医療・栄養コンサルタント
一般社団法人ラブテリ代表理事。International Nutrition Supplement Adviserを取得後、09年に日米の専門家チーム「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。母子健康をテーマとした共同研究を複数手がける。14年に三菱地所と働く女性のための「まるのうち保健室」を立ち上げ、「働き女子1,000名白書」を発表。以後、全国で保健室を開催し、女性のヘルスリテラシー向上と大規模調査を行っている。2万人を超えるデータメディア自治体、企業に提供することで女性の健康を支える社会環境づくりに取り組み、日本栄養士会「84セレクション」他、複数のアワードを受賞。生理用品No.1ブランドソフィ”の生理管理アプリを開発・監修。

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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nambitomo


(出典 news.nicovideo.jp)

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